旅に出たいが口癖

路地裏とご飯に食いつきがちな旅好き人間が旅行後の備忘録に書くブログ。不定期更新です。

11/9 秋晴れの空に着物は映える(結城)

 唐突ですが、着物を着に茨城県結城市へ行ってきました。


 毎年11月になると『きものday 結城』という着物で街歩きを楽しむイベントをやっているのです。

www.city.yuki.lg.jp


 エリアはそこまで広くありませんが、街歩きだけでなく、問屋さんの総ざらい市や、お店や地元の方が行うワークショップなどもあり、じっくり回ると結構時間がかかるイベントです。
 着物の着付けが苦手な方でも着物を持っていけば着付けしてもらえるし、持っていないけど気になるという方は結城紬のレンタルもあります(共に有料、事前予約が必要)。
 イベントは2日間あるのですが、両日とも最後に1口千円で参加できる抽選会があり、特賞はなんと結城紬の反物……という太っ腹なイベントでもあります。ぶっちゃけこれ目的で参加してます。


 だってさ……結城紬だよ?
 世界遺産にも登録されてるんだよ?
 文化遺産着れるんだよ?
 欲しいじゃないですか。


 ちなみに私が結城紬が好きになったのは「ゲームのキャラクターの聖地巡礼に行ったら、そこが織物の名産地で、なんと無しに入った商工会議所で試着をさせてもらったら着心地に一目ぼれした」というちょっと人様に説明する時にどこを重点的に話していいのかわからない理由からだったりします。
 そんな「着物は好き……だけど着付けは得意じゃない。でも着物は着たい」という私みたいなわがままさんにも優しいイベントなのでかれこれ5年連続ぐらいで参加しています。
 大概は一人で参加するのでワークショップのハシゴや写真を撮って遊んでいるのですが、今年は友人が興味を持ってくれたので一緒にお邪魔しました。
 今回は結城紬のお着物をレンタルして(着付け込み)、街中をふらふらお散歩してみることにしました。

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 着たのはこの着物。

 着物と帯のセットの中から好きなものを選んで、地元の同好会の方に「可愛い」「素敵」とめっちゃ褒めてもらいながら着付けしてもらって、凄くニコニコしながら外に出たところ、丁度よくボランティアスタッフの方がされてる近隣ツアーが出発しそうだったので混ぜてもらうことにしました。

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 まず行ったのは弘経寺(ぐぎょうじ)。
 安土桃山時代にこの辺りを治めていた結城秀康徳川家康の次男)のご息女 松姫を弔っているお寺だそうです。関東十八壇林という関東には十八か所しかない浄土宗のお坊さんの学校があった大きなお寺。与謝蕪村も一時逗留したらしく、句碑が立っていました。

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 結城氏の紋は右三つ巴というものなのですが、徳川に所縁がある方なので、このお寺には至る所に三つ葉葵の御紋がありました。

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 壇林(お坊さんの学校)があった場所は今は幼稚園のグラウンドになってた。

 

 続いては、お寺の隣にある結城酒造。
 丁度朝の仕込みが終わった蔵の前で、お酒を試飲させてもらいました。

 フルーティーな甘口のお酒と辛口のちょっと濁ったお酒を試飲させてもらったのですが、個人的には辛口美味しかったです。すっきりする。

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 家族経営のこじんまりとした造り酒屋なのですが、跳ね上げ式の扉があったり、お米を蒸す釜用の煙突は明治時代に作られたものだったりと、ぎっしり歴史が詰まった香りがします。

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 釜が丁度冷却中だったので写真を撮らせていただいたのだけど、大きい(比較対象:友人)。

 

 次は商工会議所。
 こちらの二階では機織りを実演されてました。

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 よく機織りと聞くとイメージするのが機にくっついてる椅子に座って織るものですが、伝統的なものだと地機(いざり機)という織り機を使います。床に座って機と腰をひもで結んで固定してるっぽい……どう考えても腰と足がやられるやつです。

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 ちなみに結城紬は「織る前の縦糸・横糸に色を付けて模様にする」という技法が使われています。

 つまり、縦糸と横糸がうまく合わなかったら、柄が欠ける。
 友禅などのような華やかさはないですが、シンプルイズベストに人の技術と時間を大量に詰め込んだ、とんでもなく細かい作業です。
 すごい贅沢だ。

 そのため、方眼紙に模様を描いたような設計図があったり、同じものを作る時用に布の端を切ったサンプル帳が、織っていたおうちには数多くあるのだそう。

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 見せてもらった。
 あのサンプル帳見るだけで日が暮れるまで興奮できそうな気がしたのですが、ツアー参加中だったので、更に街をお散歩します。

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 結城氏の氏神である健田須賀神社
 こちらは御紋が結城氏の右三つ巴。

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 ゲームや映画『引っ越し大名」にも出ていた、三名槍のひとつ・御手杵の槍(復元品)がある蔵美館。

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 御手杵はきものdayの後、生まれ故郷である静岡県島田市へ展示のために旅に出たようだったので、タイミングよく見れてよかったです。

 最後に結城紬の展示・販売・機織り体験などができるつむぎの館さんに着いてツアーは終了。


 ここまで結構歩いて疲れたので、おやつやらご飯やらをたっぷり頂きました。

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 富士峰菓子舗のゆでまんじゅう。
 ちょっと塩気があるのが疲れた体に染みました。
 お店からお茶と羊羹までいただいてしまいました……こっちも美味しかった。

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 更にそのままハシゴして、甘味茶蔵 真盛堂さんのお弁当(高野豆腐の煮物がめちゃくちゃ美味しかった……)と、

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 私は抹茶と豆乳のティラミス。
 そして、友人は御手杵パフェ(でかい)。

 着物なので食べ過ぎたら苦しくて死ぬのでは? と思っていたのですが、着付けしてくださったお姉様がたの腕が素晴らしくて、全く問題ありませんでした。着崩れもなかったし感謝しかないです。

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 お腹もいっぱいになって落ち着いたところで、名物のお酒を買いに行こう! と、結城にあるもう一つの造り酒屋である武勇さんへ。

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 友人がお酒を買っている間に、杉玉に興味津々だった。
 もうそろそろ新酒が出てきたら新しい杉玉に変えるそうです……来週ぐらいかな? って言われたので、ちょっと悔しくなってしまいました。新酒飲みたい。

 

 この後、ちょっとお買い物や写真を撮ったりしつつ、イベント最後の目玉である抽選会に行ってきました……が、私は今年は何も当たらなかったので、来年また行こうと思います。
 今回もすごく楽しく過ごせました。
 関わっていらっしゃる地元の方がとてもフレンドリーで、何度行っても勉強にもなるし楽しめるしで、毎年行きたくなるんですよね……


 あと、お借りした結城紬もやっぱり素敵で。
 11月の頭ともなれば、北関東は一気に冷え込んでくるのですが、繭玉から作られた真綿(綿じゃないのに真綿という不思議……)製の結城紬は軽くて温かくて大変着心地が良かったです。
 また来年もレンタルしようかな……いや、でも自前の着物も持ってるから何とかして着る機会を作りたい……と来年に向けて悩んでいこうと思います。

 

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 ちなみにこの後、友人とはお泊り会をして、買ったお酒を飲んでへべれけになりました。こちらもとっても楽しかったです。