旅に出たいが口癖

路地裏とご飯に食いつきがちな旅好き人間が旅行後の備忘録に書くブログ。不定期更新です。

8/14-② 狂気と優しさに触れた夏(フィゲラス)

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 13時40分、定刻にてフィゲラス・ヴィラファント駅に到着。
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 駅の通路からダリをグイグイ推してきて、期待も高まります。
 駅から中心部まではちょっと距離があるので、Renfeの時間に合わせてバスが出ていました。お支払いはクレジットカードのタッチ決済で行けたので、普通に乗り込んで出発。
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 降りる場所を間違えてしまったため、ちょっと歩きます。
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 街路樹が赤くて、街並みが華やかに見えます。
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 ダリに縁があるのだろうレストラン兼ホテル(多分)の前を通って、ゆるい坂道をひぃひぃ言いながら登ると……
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 あった!
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 こちら、フィゲラスのダリ劇場美術館となります。
 サルバトール・ダリは、スペインはフィゲラス出身のシュルレアリスムの大家。溶けた時計とか、燃えるキリンの絵の人と言えば、思い出される方も多いかと思います。
 「偏執狂的批判的方法(Paranoiac Critic)」と称した画法で、写実的な絵の中に夢やだまし絵のような狂気の世界を描いたお方です。
 私は何でかダリとルネ・マグリットのお二人がとても好きでして、毎度絵を見る度に「なるほど、わからん!」って言いながらもグイグイ惹かれてしまっています。御本人の一生を辿ってみると大変エキセントリックではあるのですが、素顔の本人はとてもおとなしい方だというのだから、理解度もより難解になるというものです。
 25歳の時に出会った友人の妻・ガラと惹かれ合い、最終的には彼女と社会的・宗教的に結婚し、生涯のミューズとした熱烈な恋愛感情を持った方でもあります。
 そんなダリが、晩年にセルフプロデュースしてできた美術館。
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 他にもダリの美術館は生地であるフィゲラスからバスで1時間ほど移動したところにある海辺の町コスタ・ブラバ、ジローナ近くにあるガラに捧げたプボル城など合計3つあるのですが、残りの2つは死ぬまでに行けたらいいな……と思ってます。どっちもアクセスが難易度高くて、今回は断念しました。

tickets.salvador-dali.org

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 チケットは日本にいる間に買っておいたので、時間になったら列に並び、入場。
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 入って数秒で濃厚なアートを見て、目眩を起こしそうになりましたが、更に進みます。

 これっすよ。これが見たかったんですよ。
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 この車、中で雨が降る仕様になっております。時間が悪かったのか、この時期のカタルーニャは水不足で大変だった(バルセロナも噴水止めてた)みたいなので自粛してたのか、ちょっとその辺は残念。
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 いやしかし、一言で申し上げると『狂ってらっしゃる』。
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 それを見に行ったんですけど、いい意味で大変狂ってらっしゃる。
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 過去に見たことがある絵も、美術館のために描かれた絵を見ても「なるほど分からん……」しか言えないんですが、フロイトの夢診断と触発し触発され、理性をぶん投げて深層心理や本能を全面的に露出させた絵のなんと心に刺さることか。
 自分が常にまるまる太った猫を2〜3匹被せながら生きているせいか、なんというか、凄く、掻き立てられます。何がかはよく分かんない。
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 ミューズであるガラは、色んな手法の絵を見たんですが、本当に烈々に愛していたんだろうな……とわかる美しさと凛々しさだったのですが、お年を召したガラを鏡越しに描くダリという2人の絵が、なんというか謎の性癖すら感じてゾワゾワしました。どこに性癖を見出しちゃったんだ私は。
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 あと、こちら劇場美術館の名の通り、舞台なんですが、一箇所だけ色が違う石が足元に見えます。めちゃくちゃお客さんに踏まれてるけど、多分、あの下にダリのお墓あるよ。それでええんか(ダリは劇場美術館に埋葬されています)。
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 更に余談だけど、最後の方にダリのポートレートが飾られた部屋があったんだけど、これめっちゃ好き🦀
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 その後、宝石美術館もしっかり見て、デッサンと実際にできた完成品がまさにそのままでため息をこぼしたりしておりました。
 時間も忘れてダリの世界に浸り、しっかりお土産も爆買いして、気付けば帰りの電車まで1時間を切っていました。
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 慌ててGoogle Mapで帰りのルートを確認し、美術館前から出ているL2バスで駅近くまで向かいます。
 バスの運転手さんが途中の停留所で時間調整かトイレか何かで席を外していなくなってしまってめちゃくちゃ不安になったり、駅近くのバス停で降りたはいいけどどっちの方角に行けばいいのか悩んだ私に、地元のおっちゃんが容赦なくスペイン語(もしかしたら地元言語のカタルーニャ語かもしれない)で「あっちだよあっち。そのままここの道をガーッと渡ったら、あっちの方にゴーッと真っすぐ行けばええねん」と教えてくれたのはいいけど、全く言葉がわからないのでとんだディスコミュニケーションになってしまったりしましたが(流石に笑顔でお礼は言ったし、最後おっちゃんはサムズアップしてたし、多分教えられた道は若干違ってた)、無事、時間前に駅に到着。
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 人の優しさと笑顔に触れた、いい遠足でございました。

 さて、フィゲラスも無事定刻に出たので、バルセロナへ戻ります。
 実はこの日の夜、現地発着ツアーに参加する予定なのですが、さてはて間に合うでしょうか。

 

 

【おまけ】

 ダリ専門の美術館は日本にもあります。

dali.jp

 福島は会津磐梯山にある諸橋近代美術館。アジア唯一のダリ専門の美術館で、所有作品数は世界4位とのこと(Wikipedia調べ)。彫刻作品が多く、美術館としては採光を多く取り入れた建物が印象的です。
 冬の間は雪の中で眠る(休館)ので、是非夏の五色沼散策とセットでおいでください。
 近々、クラウドファンディングをやるみたいです。