旅に出たいが口癖

路地裏とご飯に食いつきがちな旅好き人間が旅行後の備忘録に書くブログ。不定期更新です。

8/16-③ 歴史に酔う女と匠の超絶技巧建築(アルハンブラ)

 午後5時頃、ホテル出発。
 お夕飯は20:30からと時間が決まっていたため、3時間でアルハンブラ宮殿を見て周ります。
 アルハンブラ宮殿阿は世界遺産になっている『ナスル宮(Palacios Nazaríes)』『ヘネラリフェ(Generalife)』『アルカサバ(Alcazaba)』の3エリアが有料。特に有名な見どころが沢山あるナスル宮は予約時に入場時間も決めなければいけないので、時間配分が重要になります。
 まずはホテルに一番近いヘネラリフェから見ていきます。
 ここはアルハンブラ宮殿ナスル朝の首都だった頃、王族の夏の離宮として建てられた庭園です。
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 その昔、ナポレオンが壊してしまったと思わしき建物や水路を横目に見ながらエリア内へ。
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 エリアの中を彷徨いながら、何とか見つけた順路に沿って歩くと……
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 これですよ。これが見たかったんですよ。
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 夏の気温は40度にもなる中、別世界のような緑と美しさです。
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 しかも、アルハンブラグラナダの土地の中でも小高いところにあるのに、この水の巧みな利用方法。至る所に水路があります。有用な資源である水を宮殿内に行き渡らせるだけでなく、こんな美しい風景を作り出した遠い昔の匠の技に、既に圧倒されてしまいます。
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 生垣の作り方の説明パネルもあった。
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 美しい植栽の緑と涼やかな水の音に癒されながらそぞろ歩きをしていくと……
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 彫刻がやばい(語彙力の欠如)。
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 イスラム建築の最高峰と言われるアルハンブラの本気を、早速目の当たりにして呆然としてしまいました。
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 イスラムのデザインといえば、アラベスクと言われる複雑で繊細な装飾模様が特徴。それが壁や天井一面を覆っています。同じくイスラム建築の特徴である細く連続した柱も、装飾が凄い。
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 しかも、これ、基本的な建材が近場で取れた土や漆喰、陶器の破片を主原料にしたタイルでできているというのだから驚きです。まさに匠の神業。
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 建設されたのは9世紀。特に13~15世紀の間のナスル朝の時代にはそれまで要塞都市だったアルハンブラを拡張し、これほどまでに美しい建物群を作り上げてきたのです。その後、15世紀後半にレコンキスタ(国土回復運動)により、グラナダが陥落したの日も、当時のカスティーリャ王国(のちのスペインの中核となった国)の女王イザベル1世と、夫であるアラゴン王国国王フェルナンドもアルハンブラ宮殿の美しさを見て壊すことはしなかったという逸話もあるぐらいです。勿論、現在私たちが見ているアルハンブラは修復されているのですが、それにしても……すごいしか言えません。なけなしの語彙力なんて、簡単に消し飛びます。
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 もう、何か美しさに思いっきり後頭部を殴られたような衝撃を覚え、ちょっと涙目になりながら更に進みます。


 続いてきたのは、ナスル宮。
 こちらは、名前の通り、ナスル朝の歴代君主が過ごし、国を治めたエリアです。
 こちらのエリアは当時の君主がそれぞれ指示して作られた建物が連続しています。
 言ってしまえば、美の連続パンチです。
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 だって、見てください。入ってすぐに、これ。
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 壁も柱も天井も、なんという見事な細工。
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 なんだったら、床も木材だけでなくて、陶器タイルが嵌まっております。最高か。
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 勿論、こんなのは序の口です。
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 メスアール宮の中庭の中庭を過ぎて、
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 壁面の彫刻とタイルの見事さに溜息をつき、
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 アラヤネスの中庭へ。
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 こちらの彫刻もエグエグのエグでございます。
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 そして、息をのむ美しさの大使の間へ。
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 見てこの壁から天井にかけての意味わからん細かさ。
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 天井をアップで撮ってみると、多分石やタイルだと思うんですけど、星空みたいな見事なデザイン。
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 出入口も、とてもいい感じなんですよ……
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 ふわふわとした頭のまま、さらに進めば……
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 細い柱の森の先に……
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 ライオン宮のライオンの中庭です。
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 ライオンちゃんも可愛いんだけど、やっぱり壁とか柱とかを見てしまう。
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 さらには星形の鍾乳石飾りが美しすぎるアベンセラヘスの間。
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 左右に同じ大理石の敷石があるのだという二姉妹の間。
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 ちなみにこちらのお部屋の奥の天井にはステンドグラスも嵌まってます。
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 そして、やはり微細すぎる彫刻の美しさよ。
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 他にも回廊や浴室などを見て回って、大体1時間半ぐらいかかったでしょうか。
 この時点で足はくたくた。
 脳味噌は連続で美しい物を見すぎてトランス状態に入っていたのですが、最後にこちらへ行かなければいけません。
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 アルカサバ。
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 アルハンブラ宮殿が生まれた時代に建てられた防衛エリアです。
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 要塞都市アルハンブラはここから生まれたんだ……と、シンプルな外観の建物が語り掛けてくるような気がしてしまいます。
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 最後に一番高いところに登って、グラナダの街を見渡します。
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 抜けるような青い空と、赤土色の城壁、萌える緑と遠くに見える街並みが、何とも言えない気持ちになります。人間ってすごいね……

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 歴史の重みと建築の美とその間にずっとあっただろう人々の営みを考えて呆然としながらアルカサバを出たところで、すっかりくたくたになってしまいました。
 時間はまだ明るいけれど、夜8時近く。
 お夕飯の時間も近いので、慌ててホテルへ戻ります。

 

【おまけ】
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