三島駅からバスで走って20分程。
目的地のクレマチスの丘に着きました。
『花・アート・食がコンセプトの複合文化施設』を謡う施設です。
美術館が4件(内1件は現在お休み中)とレストラン3件、そして大きなお庭が魅力的な場所。隣接する駿河平自然公園もあわせれば、1日いても飽きない広大な自然の中にある私のお気に入りの美術館です。
最後にお邪魔したのは、コロナ禍の足音が聞こえ始めた約2年前。
久しぶりの来訪にうきうきそわそわしながらチケットを買い、まずは『ヴァンジ彫刻庭園美術館』へ向かいます。
入口を抜けると眼下に広がる大きな前庭から、心が洗われるのが分かります。
屋外にも早速いらっしゃる。
絵画を展示する美術館は直射日光や気温が絵画にダメージを与えてしまうため大きな箱のような外観の所が多いですが、彫刻をメインにしている美術館は外にも置ける分、大きな窓が解放感を与えてくれる建物が多いです。
こちらの美術館も、大きな窓から見るお庭の緑が気持ち良いです。大好き。
ヴァンジ氏についての来歴はこちらのリンクをご覧いただくのが分かりやすいかと思いますので、お気に入りを一つだけ紹介させてください。
こちらの説教台です。美術館ウェディングの際には、実際に使われるそうなのですが、特筆すべきは真ん中に彫られた女性の表情。
優雅で、華やかで、それでいて静かな微笑みがいつ見ても素敵だと見とれてしまいます。造られたヴァンジ氏がイタリアの方ということもあって、ラテン系の彫りの深さも感じます。
あと、今回お邪魔した時には企画展として『石』という素材に視点を絞った展示をしていました。いくつかの作品は触れて、より石を体感できるものとなっていました。
個人的に面白かったのは、発泡スチロールや石を毛糸でぐるぐる巻きにした作品。ぱっと見で重そうと思いながら持ち上げてみると発泡スチロールでめちゃくちゃ軽くて体がびっくりしました。あの感覚に名前があるのならば是非とも知りたい。
人もほぼいない美術館をゆっくり満喫した後は、隣接するお庭へ。
冬の花園は寂しいだけかと思っていたのですが、とんでもない。
お庭のあちこちにも彫刻作品が点在しているので、それを見て周るだけでも楽しい。
しかも、秋バラがまだ少し咲いていたり、足元を見たらまん丸な葉牡丹がこんにちはしていたりと、意外と賑やかです。
時間が良かったのか、お客さんが少なくてほぼ貸切状態で写真を撮る手も止まらなくなります。
うっかり童心に戻ってブランコに乗ったり、ハンモックで揺られたりもしました。たのしい。
たっぷり満喫したら寒くなってきたので、庭園の片隅にある東屋カフェでお茶をいただくことにしました。
ハーブティーとクッキーのセットを頼みました。
お茶の用意ができるまでも東屋のあちこちをうろちょろして落ち着きの無さを発揮していたら、スタッフのお姉さんが小さなストーブを用意してくれました。ほんのり足元が温まってほっとします。
お茶をしながらスタッフのお姉さんとちょっぴりお喋りさせていただいたのですが、その際に冬咲きのクレマチスがあることを教えてい貰いました。例年1月頃から3種類のクレマチスが咲いてくるとのこと。
ここですよ。 と、教えていただき、頑張って撮りました。
一番庭が華やかになる5月下旬のクレマチスと比べると、萼(がく)の部分がランプシェードみたいで可愛い(クレマチスは紫陽花と同じく花弁が無く、花に見える部分は萼))。
お庭にずっといてもいいのですが、もう1軒の美術館にもお邪魔したいので、移動します。
迂回もできるし、時間が合えば巡回バスもあるのだけど、毎度駿河平自然公園内のこの吊り橋を渡りたくて、同じルートばかり使ってしまう。
ヴァンジ彫刻庭園美術館からは歩いて15分ほどで、次の目的地『ベルナール・ビュフェ美術館』に到着。
ビュフェ氏はWikipediaによると「第二次世界大戦後の具象絵画の代表的な画家」だそう。荒々くて真っ直ぐな強い線と、もの悲しい色彩が妙に胸に刺さる画家……というのが、個人的な感想です。
余談ですが、拙宅にある昔の新潮文庫版『悲しみよ こんにちは』(フランソワーズ・サガン著)の表紙の絵が彼の物だったのを、今回初めて知りました。
今回も荒々しい線に心を刺されつつ、鑑賞して参りました。
1日に美術館2軒ハシゴできるのは凄く楽しいけど、脳の普段使わない部分をフル回転させるので、結構疲れる。
この後はしっかりミュージアムショップもハシゴして、心身ともに満腹になったので下山。
お夕飯は静岡と言えば! な、あそこへ向かいます。