午前11時過ぎ。
強羅駅からバスに乗って上塔ノ沢を目指します。
わざわざ昨夜箱根の山を登ってきたというのにまた下るのは、こちらの日帰り入浴の予約を入れていたからなのです。
多くの文豪とも所縁があるのだというこちらのお宿の名付け親は、初代内閣総理大臣 伊藤博文公。彼が謳った漢詩が元となっているようです。ちなみに強羅にも同じ名前のお宿がありますが、こちらは旧三菱財閥でお馴染みの岩崎家が所縁のため、全く違うお宿のようです(調べてみると、更に新潟にも所縁は全く関係ない、同名のお宿があるらしい)。
上塔ノ沢へ行くのはデジタル箱根フリーパスが使えないため、交通系ICカードで料金を払いました。流れる緑を眺めている内に、バスは目的地に到着。
バス停の目の前にお宿があります。アクセス抜群。
お世話になるのは別館の方なので、案内表示に従って通路を歩くと……
わぁ……!
雨に濡れて風情が増した、素敵に渋いお宿が見えてきました。
今回はお昼がついた3時間のデイユースプランを利用します。
フロントでチェックインすると、早速まずはお食事を……とレストランへ通されました。
うわぁ(*´▽`*)!
雨だからか他のお客様も見かけず、貸切で好きなお席を選ばせてもらえました。折角なので雰囲気がいい窓側のお席にしました。
歴史があるお宿ですが、新館のレストランはイタリアンがいただけます。
ランチメニューはお肉、お魚、パスタ、サンドウィッチの4つから選べました。お魚のコースを注文して、一人なのをいいことに待っている間はレストランの内装をちょっと見学させてもらいました。
こういう渋さとモダンさが合わさった雰囲気、大好物です。
年代物の窓ガラスを使っているようなのですが、雨が降るとガラスの歪みが強めに出て、外が溶けるような色合いになるのも素敵。
いいなー。 こんなお宿も泊まってみたいなー! とウキウキしていたら、お食事の準備が整いました。
前菜はアボカドとエビがごろごろ入ったコブサラダと、桃とキャビアの冷製スープ、キッシュの3種盛り。
コブサラダはチリペッパーがぴりりと効いたドレッシングとアボカドのマイルドな青みが合わさってぐいぐい食べたくなるし、桃のスープは甘いのかと思ったらスパイスが入っているのかピリッと辛さを感じた後に桃の甘さと香りとスープの塩味が追いかけてきてギャップにびっくりしたし、キッシュはチーズの風味もして大変美味しゅうございました。
にこにこしながら食べていたら、続いてメインの鯛のポワレがパンと共に登場。
こちらはふっくらほろろとした鯛の身と、ちょっと塩味が強いクリームソース、上に飾られたゴボウチップをあわせて食べると、色々な食感や風味が混ざり合って美味しかったです。ソースの塩味が強めだったので、パンがすすむすすむ。
コーヒーも最後の一滴までいただき、幸せになったところで、お風呂場のご案内をしてもらいました。
利用できるのは洗い場がついていない露天風呂なので、代わりにシャワールームがあるとのこと。アメニティはフロント横に置いてあるのでご自由にお使いください……と言われてアメニティコーナーを見に行ったら、クレンジングなどのスキンケア用品だけでなく、フェイスパックまであってびっくりしました。
至れり尽くせりでした。
シャワールームはパウダールームも兼ねていて、広くて明るくて綺麗。
窓の外には露天風呂へ向かう道と建物が見えました。
シャワーで体の汚れを落とし、いざ、入浴!
……と、ここで嬉しい事と悲しい事が一気にやってきました。
【吉報】やっぱりお風呂も貸切
【悲報】雨除けが無いタイプの露天風呂。なお、結構な雨が降ってる
脱衣所には屋根があったので、洋服が濡れることはありませんでしたが、滝行しながら風呂に入るみたいな気持ちになりながらお風呂に入りました。ちなみに脱衣所にはこんなこともあろうかと、笠が置いてあった事は併せてお伝えしておきます。私が使わなかっただけです。
でも、逆に雨に打たれながらのお風呂、体を温めた後に雨で冷やす……のサイクルを数回繰り返すのがサウナみたいな使い方になったのか、体がしゃっきりいたしました。川が近いのかお風呂とは違う水音と雨の音が大きく聞こえるのと、濃い緑の香りも良かった。
お湯は宮ノ下と同じく透明無臭。寒暖差からなのか、温泉の効果なのか、スマホやPCで普段から酷使しっぱなしの手のひらがぴりぴりしたので効いてるのだと思います。
しっかりお湯を満喫して、時計を確認すると2時を越えたくらい。
利用は3時まで。ゆったり身支度を整えてチェックアウトしました。